コラム
二次検査 (尿)
尿検査とは、尿の成分から健康状態や病気の兆候などを調べる検査です。
尿とは健康と密接に結びついているもので、
- 尿の色
- 尿の量
- 尿のにおい
などで自身の健康状態を教えてくれます。
具体的には、正常な尿の色は透明な淡黄〜黄色、排泄直後はわずかにしかにおいません。
一方で、
- 赤色が混じる
- ほとんど無色
- また褐色になるほど色が濃い
- 量が異様に少ない、多い
- 出した直後から臭い、甘い香りがする
などの異常があると、さまざまな病気の可能性のサインになります。
こうした目に見える情報だけではなく尿には実にたくさんの目に見えない情報がふくまれています。
健康診断で行われている検査項目
※健康診断では「尿蛋白」「尿糖」の2種類が必須項目になっています。
検査項目 | 検査内容 | 異常があった場合疑われる病気 |
尿蛋白 | 尿に含まれるたんぱく質の量を調べる検査です。 | 急性腎炎、前立腺・膀胱の腫瘍や炎症、尿路系疾患、ネフローゼ症候群など |
尿糖 | 尿に含まれる糖分を調べます。 | 糖尿病や甲状腺機能亢進症、副腎疾患、腎性糖尿など |
尿潜血 | 尿に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。 | 腎臓や膀胱、尿路の炎症や腫瘍、結石など |
尿沈渣 | 尿に含まれる沈殿物を調べる検査です。 | 急性腎炎、慢性腎炎、腎結石、腎盂腎炎、膀胱炎、急性肝炎、閉塞性黄疸など(※細胞の種類により疑い病名は異なります) |
尿比重 | 蒸留水に対する尿の比重を調べます。尿の中には、さまざまな物質が含まれているため、普通の水に比べて比重が高くなります。 | 尿比重が高い場合は糖尿病、脱水症など、 |
低い場合は腎不全、尿崩症など尿を濃縮する機能の低下など |
尿検査で異常値が出たら
尿検査
尿蛋白定量:
尿蛋白の定量(尿蛋白/尿クレアチニン比)を行い、尿蛋白がどれくらい出ているかを評価します。
尿沈渣:
尿の沈殿物を顕微鏡でみる検査で、血球成分・細胞成分・円柱などを調べます。沈渣で異常が認められる場合は、糸球体腎炎が疑われます。
尿細胞診:
比較的ご高齢の方で尿潜血がある場合、尿中に癌細胞が含まれているかを調べます。
血液検査
糸球体腎炎などの腎疾患が疑われる場合は、腎機能の評価と腎疾患の原因検索ために血液検査を行います。
腎臓機能評価のための検査項目:
クレアチニン、シスタチンC、尿素窒素 など
原因検索のための検査項目:
グロブリン(IgAなど)、補体(CH50、C3、C4)、抗核抗体(ANA)、ds-DNA抗体、MPO-ANCA、免疫電気泳動、蛋白分画、ASO/ASK など
画像検査
尿検査、血液検査で腎臓病や癌が疑われる場合に、CTやエコーなどの画像検査を行います。
腎生検
蛋白尿、血尿、腎機能低下のある患者さんにとって最も相応しい治療法を決定するために、尿を作っている腎臓の一部の組織を取り、顕微鏡で評価することが必要になります。
腎生検の目的は、3つあります。 「適切な治療法を決定すること」、「病気の見通しを予測すること」、 「正確な組織診断を得ること」です。
入院が必要な検査となります。腎生検が必要な場合は適切な医療機関をご紹介いたします。
尿検査は、健康診断当日の身体の状態によっても結果が左右されやすい検査です。検査の結果が基準値ではなかった場合、一時的または生理的な事由によりたまたま基準値を超えたのか、あるいは病気のサインなのかを見極めなければなりません。
健康診断は病気を早期に発見することが目的です。ですから、「まあ、大丈夫だろう」では健康診断を受けた意味がなくなります。来年の健診で、、、と自己判断せず、早めに二次検査を受診しましょう。